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年内最後かもしれない登山、そして不死鳥(後編)

※注:今回の記事めちゃくちゃ長いので前後編に分けます

前編はこちら:年内最後かもしれない登山、そして不死鳥(前編)


前回の記事では

広沢寺温泉入り口バス停~浅間神社(鐘ヶ嶽山頂)~不動尻までの行程を書いた。
今回は不動尻→三峰分岐→唐澤峠→大山山頂→下山までを書くこととする。


不動尻~三峰分岐

前回は不動の滝とやらを見てちょっと休憩したところで終わったんだったかな。
ここから三峰と呼ばれる山頂方面に向かいつつ(実際には今回は三峰山頂には行かない)、途中で方向転換して唐澤峠に向かう。

ここまでは比較的わかりやすい登山道や舗装された道を歩いてきたが、ここからは一気に登山としての難易度が上がる。実際、三峰方面を指す標識には「上級者向け」と書いてある。

いきなり道を間違える

最初からやらかしてしまった。GPSログを見ると、北北西方面に向かいつつ途中で引き返している跡があるのがわかるが、これがいきなり道を間違えてしまった形跡だ。
実際にはこの道を進み続けても、目的地である大山山頂には到着するのだが、今回のルートとは異なるため間違えに気づいた時点で引き返すことにした。fenixでナビゲーションをしているにも関わらず、ぱっと見ルート上と同じ方角に進めているように見えてしまっていたため、途中まで間違って進んでしまった。

実は私は登山者としては致命的なレベルで方向音痴で、街中ですら、なんなら自宅周辺ですら迷子になる。なので一分に一度は現在地を確認してもいいくらいだ。
そんなレベルの方向音痴だから、ナビゲーション機能付きのスマートウォッチは手放せないのだ。冬は厚いグローブをつけることになるし、スマートフォンをいちいち取り出してロック解除して…などしたくない。そもそもスマートフォンのバッテリーは可能な限り温存しておきたいという気持ちもある。なのでナビゲーションは専用のデバイスに任せたい。

そして単純に道が危険なのだ。↓のように木でできた簡易的な橋がかけられている斜面があるが、沢沿いにあるせいでずっと湿っているし弛むし滑るし私も転びかけた。しかも片方には「渡るな」と言わんばかりにバツ印でテープが張ってある。こういうルート、あんまり人が通らないから整備の面でも優先度低いのかな。

本当に滑って転ぶかと思った

そして鎖もある。写真で伝わるかわからないが、この急峻な岩場を鎖を頼りに登っていかねばならない。鎖自体はしっかりしていてちぎれて落下ということはないだろうが、鎖の経験がなければなかなか怖いポイントの一つだと思う。

岩は湿っているし、鎖未経験では結構危なそう

そんでもってさらに道標が少ない。ピンクテープもない。
浅間神社や不動尻までは細かく「○○まで■■km」みたいな標識があって、正しい方向に進めていることを認識できる。しかしこのルートではぱっと見登山道には見えない道の先にポツンと道標があったりして、これを見落とすと一気にルートがわからなくなる。

ギリギリ登山道かどうか怪しい道の先にある標識

しかし、ここを超えてからはしばらくは沢沿いの割とわかりやすく緩やかな登りが続き、少し安心できる。とはいえ依然ピンクテープはないし、倒れている樹をまたぐように歩かなければならないポイントもあり決して油断できない。

そういえば不動尻から三峰への分岐(↓図でいうと一番上の突起の部分)までを歩いているときに初めて上から歩いてくる人とすれ違った。それくらいこのルートを登る人は少ない。そんでもってこっち方面に降りてくる人もいないらしい。

ちなみに三峰分岐到達時点で、全体の進捗のちょうど半分くらいだ。

分岐にはちっちゃなベンチがあり、そこで少し休憩できる。そこからさらに北に向かうと三峰山頂に行けるが、今回は行かないことにした。なぜなら鎖場の連続で登山経験としてはそれはそれで楽しいのだが、三峰山頂には展望がなくわざわざ行くメリットがあまり感じられなかったからだ。一回行けば十分といった感想だった。


三峰分岐~唐澤峠

その分岐から南の方向へ向かうと次の目的地である唐澤峠なのだが、↑図で青い四角で囲ったエリアが次の難所である。
標高グラフで見ると赤丸のあたりで、なんならやや下り気味で体力的にきついということはない。

この先に、山頂直前に登りが待ち受けているものの、しばらくは緩やかアップダウンが続く

何が難所かというと、ここには明確な登山道がない。いわゆる「バリエーションルート」なのだ。バリエーションルートというものについての説明は省くが、要するに「いけそうな道を自分で探す(ルートファインディング)」というスキルを求められる。

多少樹が切り開かれてはいるものの、明確にルートとわかるものがない

基本的にはこのルートは尾根沿いに歩けるようになっており、左右が急斜面になっているため「なんとなくここ行けそう」みたいな勘は働く。しかし、私はここで2度も方向を間違えることになる。
不動尻から道を間違えて引き返した時のように、ちょっと進んで戻った跡が確認できる箇所がある。

木々にさえぎられて先の景色がわかりづらいうえに、目印になるものがないので一回方向感覚が狂うと進行方向が間違っていることに気づきにくいのだ。私はここでもfenixのナビゲーション機能と、自分の歩いてきた軌跡をたどって引き返すことができる機能に助けられることになる。このルートは危険地帯こそないものの、油断すると本当に迷ってしまう。ゆえに「難所」と表現した。最悪道がわからなくなっても、上り方向はわかるので登るよう引き返せば分岐地点までは戻れるだろう。

ちなみにこれは私のfenixのナビゲーション機能の画面なのだが、あらかじめgarmin connectでgpxファイルにウェイポイントを打っておいた。なのでこの画面では

  • 次の目的地の方角と、自分の向いている方角の誤差
  • 次の目的地名称
  • 現在時刻
  • 次の目的地への到着予定時刻
  • 次の目的地への距離

を表示している。コンパスがあるので自分の向いている方角や次の目的地の方角がわかるし、この画面では「11:48に唐澤峠につく予定だったが、このペースなら10:56には到着する」ということがわかる。
これにより「時間に余裕あるからちょっと長めに休憩しよう」とか「ちょっと想定ペースより遅れてるから休憩を早めに切り上げよう」とかそういう全体のペース調整に大いに役立つ。
目的地への距離がどんどん縮まっていくのを見るのも、精神的な支えになる。

というわけで少々迷いつつも無事に唐澤峠に到着した。ここにはベンチがあるので、最後の登りの前にきちんと休憩するのがおすすめ。
ちなみにこのルートにおける唐澤峠は「一つのゴール」であり「真のスタート地点」であるとも思っている。

道中にはなかなか眺めのいいスポットもあった

唐澤峠~大山山頂

さて、いよいよ最後の大難所だ。ここから先は技術的に難しい箇所や危険地帯はほとんどない。そういう意味では一つのゴールである。
しかし休憩地帯が殆どない登りがひたすら続く。そういう意味でここからが真のスタートである。

とはいえ山頂手前ということもありきちんと整備された登山道が用意されている。唐澤峠までの一歩間違えればすぐ迷うような道を歩いてきた私にとってはそれだけでありがたい。

ここまでほとんど人とすれ違うことはなかったが、この先急に人が増えて下ってくる人とすれ違うことができた。山頂が近いためだろう。
そしてここからは書くべきことが全くない。道はわかりやすくなっているし、解説しておくべき危険個所もない。ただひたすらにきついだけなので、気を強く持って登ろう。

途中途中に景色のいいスポットも多い

ついに山頂

7時ぴったりに登りはじめ、約5.5時間。12:30に大山山頂に到着した。

ようやく山頂

この写真だけでもわかるとおり、ものすごい人だ。阿夫利神社下社方面から登ってきた人たちが殆どだろう。
トイレもとんでもない混雑で、周りの登山者の会話を聞く限り30分くらいは待つようだった。

というわけでお待ちかねの昼飯タイム さすがに腹ペコである

どこもかしこも人だらけで、一人分が座れるスペースを確保するのも大変だったが何とかちっちゃなスペースを見つけて飯の支度をする。ここまで歩いてきて汗ばんでいることもあって、頂上で動かずに座っていると汗が冷やされてさすがに寒い。11月下旬ともなれば山頂の気温は一桁台になる。

そんな日はやっぱり熱い食べ物、飲み物がうれしいし、たとえインスタントであってもこういう場所で食べるものはうまい。調理器具や調理に必要な水をもっていかなければならないので当然装備は重くなるし、調理要らずで食べられるパンだのおにぎりだのだけでもいいのだが、なんだかんだガチャガチャ火をおこしたりお湯を沸かしたりするのが楽しかったりする。
山頂にはちっちゃな茶屋があって、おでんとかカレーとかの料理を注文してその場で食べられる。重たい装備を持ってこなくても山頂で温かい料理にありつけるのはうれしいという人も多いはず。

本来の予定では13:30に山頂に到着、1時間ほど休憩して14:30に下山開始というつもりだったが、予定より1時間も早く到着することができたので下山も早めることにした。


大山山頂~下山

下山前にトイレ裏の広場へ行ってみる。こっちからは西側、富士山を小さいながらも眺めることができる。

左下に小さい富士山

下山を開始したのが13:30頃。ここから阿夫利神社下社までは60分程度らしい。
ここからはひたすら下りが続くだけで、あまりあえて書くべきことはないのだが、登ってきたルートと違って下山ルートは登ってくる人も下る人も多いので結構道が詰まる。
あまり登山に詳しくない人のために書いておくと、登山では狭い道で登りと下りがすれ違う時には登り優先というのが一種のマナーになっている。下り側がうまいこと端っこに避けて、登り側が通過しきってから下るのだ。しかし、時間帯的にまだまだ登ってくる人が多いので、すれ違うたびにそれをやっていると必然的に下り側がどんどん後ろに詰まっていく。時々狭い道でも知ったこっちゃないと強引に追い抜いていく人がいて、人それぞれペースはあるので多少は仕方ないなと思いつつあんまりマナーはよくないなと感じる。

そこそこ急な下りで、登りですでにへとへとな体には少々きついものの、それでももう登りはないと思えば精神的には余裕だ。

しかし阿夫利神社下社まではケーブルカーで来られることもあって、結構こっちの登山道はスニーカー・ジーパン・トレーナーみたいな軽装で登ってくる人も多い。ちゃんとした登山装備でさえそこそこきついと感じるのに、そんな軽装でいいのか…?(特にジーンズやトレーナーなんて汗吸って重くなるし乾きにくいと思うのだが)


無事下山

まぁ下りは道迷いするような要素もなく淡々歩き続けて無事阿夫利神社下社到着。こっちはこっちで参拝客がすごかったな。訪日外国人みたいな人たちもたくさんいて、自分が知らなかっただけで結構観光地として人気なんだろうか。前来たときは全然人いなかったけどな、って思ったけどその時はまだ雪の残る3月なんだった。

景色もいいし、紅葉もきれいだった

あとは一本道をさらにさらに下り続け、バス停まで到着して行動終了。お疲れ様でした。

バス停まで下ってる途中、結構阿夫利神社に向かって登って行くたちとすれ違って、「え、今から登るの?」って思ったんだけど、よく考えたら15時ごろなんて街では「まだまだこれから」って時間なんだよな。参拝目的なら問題ないけど、自分は登山目的で来てるから感覚バグっちゃった。


行動を終えて

その後は小田急線で新宿までいってスパ銭入って飯食って帰った。
3か月半ぶりだったからか筋肉痛がえぐいけど、年内最後かもしれない登山としては十分満足できる内容だった。来年はもっと登りたい。それにしてもやっぱfenixあると単独登山安心だなー。